家具をぶつけてドアをこわしてしまった場合も、火災保険はおりる?

先日、お客様から新築の時に加入するべき火災保険についてご相談がありました。 さっそく保険のプロである保険事務所人と私たち建築士側で下打合せをしました。その時改めて確認したのですが、、

たとえば家具をぶつけてドアをこわしてしまった場合も、火災保険はおりるそうです。(契約と保険会社によりますが)

それ教えといてよ、と思いますが知られていない事実。通常、設計事務所で家を建てる場合、ハウスメーカーの営業のような役割を建築家・建築士がにないます。 ここでどんな保険を選んでも建築家(建築士)へお金は動きませんが(笑)・・・

だからこそ 名古屋市の設計事務所ホームデコールでは いつも自分だったらという立場でベストなプランを選んで ご説明しています。

では、何が良いかの具体例をあげていきましょう。

住まいの総合保険としての火災保険

木造のおしゃれな住まい

ご存じかもしれませんが、火災保険は火災だけでなく 総合的に住宅のリスクに対応します。建築の業界的に一番使い勝手がいいといわれるのは 水害、台風などでの家の破損についての補修費用です。この査定は保険の中では一番緩いといわれるくらい、消費者に有利。生命保険や自動車保険のような厳しい査定をあまり感じません。 以前、私は台風で壁がいたんだところを保険できれいに直しました。この時は見積もりどうりに保険がおりましたよ。

そして保険期間についてです。

数年前までは、30年一括で火災保険に入れたのですが現在は10年が最長期間。なぜだと思いますか? 想像ですが自然災害が多くなりすぎて保険会社が損をしまくる予想がたってきた。そこで災害が多くなったら保険料を上げられるように長期の保険を停止したんですね。保険会社も賢いです。そしてお客様にも賢く家づくりをしていただくためには火災保険は必須。住宅の自然災害・天災の備えにもなるからです。建築士としてはアウトな考えかもしれませんが、要塞みたいな住宅はコストも見合わず住みにくいだけです。壊れてもちゃんと修理ができる、生き延びて生活できる家が良い家だと思います。

たとえば台風で浸水したり窓ガラスが割れたら修理費は火災保険を請求すればよいのです。しかも長期割引で 保険料も一年ごとに払うより格安です。そして保険料も上層傾向にあります。それなら入るなら早いうちに長く加入ですよね。入っていても保険金でカバーできることをご存じない方も見えるので請求も忘れずに。

泥棒が壊した住宅の窓は 火災保険で費用をカバー。

泥棒が侵入される被害より、窓ガラスや家屋を壊された被害のほうが出費がかさむことは多々あります。住宅だけでなく、家財保険に入れば 泥棒による盗難の保証もオプションで入れます。 防犯対策も大切ですが、そのうえで息苦しく生活するよりも 保険に入って安心を得る、という考え方もあります。

たとえば新築されたお宅で泥棒に入られて、引き渡し直後で火災保険に入っていなかったら・・・。修理費用、盗難されたものなどのことを考えるだけでも参ってしまいます。

設計事務所が建物に関しておススメするオプションや保険料減額方法

1.耐震等級割引–地震保険特約が半額になる!

住宅の耐震性能の認定は厳格です。また、地震保険は入るべきかという問題もありますね。ただし、火災保険への付与率は現在65.2%で火災保険に入らないと地震保険にはいれません。しかも住宅しか地震保険は加入できなくて、店舗などは加入が認められていません。実は大地震の際の火災をカバーするものなので、保険会社だけが保険主体ではなく、災保険のなかで地震保険だけは政府が共同で運営しているのです。(つまりここには税金がはいっているってことです。)長年(!)住宅を設計して見続けている設計事務所としての結論だけ言ってしまいますと、ローン金額が大きい人と地震リスクの大きい地域の人については地震保険はぜひ入っておくべきです。そしてどうせなら耐震等級も取得しましょう。

複数の住宅のイメージ

2.省令準耐火仕様で火災地震保険料は劇的ダウンになる!

一般的に鉄筋や鉄骨の火災に強そうなイメージの建物より、木造住宅は保険料が高いです。しかし、木造軸組みで建ても高い保険料ではなく 鉄筋コンクリート造や鉄骨などと同等の安い保険料の割引を受けられます。この割引を使うと 大雑把ですが保険料は半分程度になります。

たとえばSBI損保試算基準日:2020年4月

 :353,980円(木造)
 :200,630円(省令準耐火)
5年分の差額 :153,350円     30年なら920,100円お得。

ただ注意点もあります。まず、一般の木造住宅を省令準耐火構造住宅にするためには防火に関するさまざまな基準を満たさなければなりません。そして建築の着工前に申請したり、完了の証明を取得する必要があります。そのために、すでに住宅の建築プランなどが決まっている場合は、基準を満たすために工事費用が追加になったり、申請費や時間がかかる場合があります。また、各室防火のように部屋が区切られていることや内壁の素材などが定められていることにより、デザインの自由度は一般的な住宅と比べて下がりやすいです。

もう一つの注意点は、火災保険料が下がったとしても、追加の工事費用などの関連費用がかさんでしまうことです。(私の経験的に30万~60万の差額になることが多いです)短期的に省令準耐火構造住宅のほうがコストがかかってしまう場合も。

しかし単純にコストの問題だけでなく 耐火性能も上がると考えると デザインをとるか、耐火性能をあげるかどうかは 注文住宅ならではの自由な選択項目だといえます。

 このようにお客様からご相談いただくと、私たち建築士だけでなく、損害保険事務所の人たちとも連携して ワンストップサービスで お客様が一番有利な家づくりを目指しています

当初の資金計画の時だけでなく 設計や工事の途中、完成後も 確認と連携が大切です。

たとえば 建築確認申請のときには どんな認定を申請するか、(省令準耐火だけでなく長期優良住宅とか、ZEHとか色々ありますよね・・)建築士からお客様に 最善の方法を説明し、確認していこうと務めています。 

個別事例でのご相談も随時お受けしています。

保険建物金額の設定は、ほどほどに。

例えば名古屋市内でどれだけの住宅が火災保険の加入しているかは(正直)知らないのですが その家の中で全焼の認定を受けるのは一年に一軒程度だそうです。また平均建物保険金額は2000万円ちょっと。

年々保険金額が下がっていくこともありますが、建物保険金額をアップすることは保険料のアップに直結してしまいます。 無事事故がないことが一番ですし、誰でもむやみに高い保険料は払いたくはありません。

このように考えると安易な高額保険金額設定には 慎重になっていいと思います。

火災と家そして保険

まとめ

火災保険の保証は本当に重要です。

1.着工する前に、耐震等級、省令準耐火の建物であるか、建築会社か担当の建築士に確認しましょう。

2.新築したら必ず(引き渡しの日から)火災保険に加入しましょう。できるだけ長期ではいる方が保険料もお得です。

3.地震保険、家財保険、各種オプション※は思わぬ保障内容がまじっていて、リスク分散の宝箱。しっかりと説明を受けましょう。