日本は自然災害大国。地震・火山の噴火・台風・津波・洪水・火災など祖先の代から災害と隣り合って生活してきました。 命や財産を守るための避難や復旧活動など色々備えることはとても大切です。また、住まいを構える時に災害に強い家を想定しておけば 万一の時に余裕を持った行動ができます。

安全性を考える時にはメンテナンスも考えて行動するので、メンテナンスのしやすい家にもなります。

不動産立地を歴史的に知る意味

愛知県ですと名古屋大学の減災館に減災ライブラリーがあり、その土地の100年前までの地図を変化として見られます。沼であったとか、谷であったとか、工場の後であったとか、土地由来を知ると立地の隠されたウィークポイントがわかります。 以前は地名で由来がわかることが多かったのですが、不動産価値を上げたいので「希望ヶ丘」とか「さつき通り」とかイメージ先行で町名が変更されているところもあります。

神社(お寺)が多いところは理由が⇒治水や天災について神様をお祭りして祈った経緯で寺社が建立されていることもあります。そこにお住まいの年長の方などは洪水や津波についての可能性をご存じかも。地盤の高さ、地盤補強の可能性について事前に知ることで 不動産購入や住宅を建てるコスト計画に役立ちます。

工事直前の地盤調査で、地盤補強に100万円以上コストアップが判明することもあります。

ポイント:土地の素性でコスト計画がかわることを知る

地盤高さ設定を見直せば 浸水被害が減る

GLとよばれる設計地盤の高さ。車の乗り入れやコストだけを考えて道路と同じ高さで地盤を設定して建物を計画していませんか? 道路はメンテナンスでアスファルトを重ねていくので、将来的に家の地盤高さより道路が高くなってしまうかもしれません。洪水が起こったときにあと数センチ 設計地盤や基礎が高ければ浸水被害が防げた家を散見します。

ポイント:宅地の地盤選定を道路より10センチ以上高く設定しましょう。

GL設定の図

 

流行りの基礎断熱の家は大丈夫なのか

私も過去、基礎断熱の家を設計しました。 地熱利用をしたり、高気密高断熱の家にできるのでとても暖かく快適です。しかし、敷地外排水やメンテナンス設計をしないと万一の漏水や浸水に対して大丈夫なのかと疑問に思うことがありました。 一般的には床下換気で床下は空気が通っているはずなのですが、床下換気のない基礎断熱の家は床下に水や異物がいったん入ると 通気するのは屋内の通気口だけなので自然に乾いたり普及することはありません。

ポイント:基礎断熱の家は床下メンテナンスを重視した設計にすべき

ではざっくり大都市のマンションは大丈夫か?

地震動(内閣府HPより)

東京・大阪・名古屋などの大きな平野は地震の時、揺れる地震動が特殊な揺れをします。部のような長周期地震動がゆっくり大きく揺れます。関東平野などの大規模な平野や盆地は、柔らかい堆積層で覆われており、堆積層で長周期の波は増幅されます。
首都圏や近畿圏や中京圏などの大都市は大規模な平野部に立地

高いビルほど大きな振り子のようになり、地震の揺れと共振を厖してしまうと被害が拡大します。共振して揺れが拡大すると家具が飛んで凶器になったりしますし、エレベータ事故も

長周期地震動により、高層ビルが大きく長く揺れることで、室内の家具や什器などが転倒・移動したり、エレベータが故障することがあります。
気象庁では、地震発生後、震度の情報を発表していますが、震度が小さくても高層ビル高層階で大きな揺れになることがあります。
東北地方太平洋沖地震で大阪市の高層ビルは、内装材などが破損するほど大きく揺れるビルもありましたが、地上で観測された震度は3でした。

都市部の高層マンションは眺望より、免振・制振設計であることが大切です。